
夏の終わりに20歳を迎え、年齢的には“大人”として括られる年齢になったとき、高校時代の恩師に言われたこの言葉を思い出した。
解釈はいろいろあるかもしれないのだけど、僕的には「引き出しの多い」ことなのかなと。
カルチャーでも学問でも、話していて様々な方向に話を膨らませていけるような人は魅力的に映る。そうした人は、きっと人生の楽しみ方もたくさん知っているからね。
どちらかというと僕自身は、音楽でも何でも自分の好きなものだけをずっと楽しむタイプ。つまり、正直なところ引き出しはあんまり多くない。
だからこそ、この一年は意識的に引き出しを増やし、その中身を充実させていきたい。
その手始めとしてまずは好きなファッションから。夏には真っ白なスニーカーを、そしてこの秋は革靴を一足を迎えることにした。
足下に選択肢が増えれば、日々の着こなしがもっと楽しく、奥深いものになるはず。
CONTENTS 目次
DAN別注のSOLOVAIR

4月の受注会からはや半年近く。その革靴は、もはや忘れかけていた頃に手元へやってきた。ダンボールには「DAN」の刻印。
今回届いたこちら、実は既成品ではなく、あるセレクトショップの別注品なのだ。
中目黒のセレクトショップ「DAN」で

ファッションフリークなら、ご存知の方も多いかと思うのだけど「DAN(ダン)」は人気ファッションYouTuberのハズム氏が店長を務めるセレクトショップ。

服やアクセサリーなど自身が購入して気に入ったものを紹介する動画が若者に人気を博し、今年3月にその知見を活かしたポップアップショップ「DAN」を期間限定でオープン。
想像以上の反響から3月以降もショップを常設化、これまで勤められていたブランド古着店を退職され、正式に店長に。そして、現在に至る。
店は中目黒にある。動画で見ていた棚が、そのまま目の前にある感覚が面白かった。別注はその店の空気そのもので、既成のラインを選ぶのとは、やっぱり少し意味が違う。
今回の革靴はそんなDANがSOLOVAIRに別注をかけた限定モデル。僕も実際に店頭へと足を運び、サイズ選びについてアドバイスを頂きながら、発注してきた。
サイズについて少しだけ。英国製の革靴はUK表記で、手持ちのスニーカーの感覚をそのまま持ち込むと、たいてい合わない。しかも履き始めと履き慣れてからで、印象がずいぶん変わる。新品のうちは中底が硬く、足の形に沈んでいないので、どうしても窮屈に感じる。逆に、最初からゆったり感じるものを選ぶと、沈んだあとに緩くなる。指先に余りがなく、甲が軽く押さえられるくらい。試させてもらえる店で選ぶのが、いちばん確実だと思う。
イギリスからやってきました

一度、店舗で実物を見ているとはいえ、箱を開ける瞬間は少しドキドキするね。

MADE IN ENGLANDということで、イギリスの工場で製造されてはるばる日本へ。ようこそ。
イギリス製のものって、意外と身の回りに少ない気がするので、なんだか新鮮な響き。

さて、それでは詳しく見ていこう。
名作を彷彿とさせるUチップ

別注モデル、最大の特徴はご覧になって分かる通りトゥの形がUチップであること。これは通常ラインではない形なので、みればひと目で別注品とわかる“それ”。

J.M.WESTONの「GOLF」や PARABOOTの「CHAMBORD」、Crockett&Jonesの「MORETON」など名作として愛され続けるUチップの革靴たちを彷彿とさせる仕上がり。

手持ちのプレーントゥと比べるとよく違いが分かる。
シンプルで装飾の少ないプレーントゥに比べると、Uチップは切り替えの部分にステッチが入り、甲の部分にもボリュームが出るため、同じブラック一色でも存在感がある。
素のままのフルグレインレザー

通常ラインでは、ツヤのあるハイシャインレザーをアッパーに使用しているのに対し、今回の別注モデルではマットな質感のフルグレインレザーを採用。
革の表面(グレイン/銀面)を削ったり、上から加工を施していないため、革本来の表情がよく分かる。

キズや血管の痕などが見えるので、人に寄ってはマイナスの印象を抱くかと思うのだけど、それは裏返しで、すっぴんの革は日々の手入れがダイレクトに反映される。
つまり、より経年変化が楽しめるレザーであるということ。靴磨きは定期的に行い、長く大切に育てていきたい。
これから先、この革がどう変わっていくのか。まず、履いて数回で甲に履きジワが入る。自分の足の形がそのまま線になったもので、同じ靴でも二つとして同じにならない。次に色。クリームを入れて磨くたびに、黒が少しずつ深くなる。買った日のマットな黒は、いつのまにか奥に艶を持った黒になる。キズも同じで、最初は目立つけれど、磨くうちに周りと馴染んで、そのうち景色の一部になる。
加工で表面を覆っていないぶん、手をかけた分だけ素直に返ってくる。
履き心地に優れたエアークッションソール

1959年にイギリスの老舗シューズメーカーNPS Shoes Ltd.のファクトリーブランドとしてスタートしたSOLOVAIR(ソロヴェアー)。
ブランド名はその代名詞ともいえるソール「SOLE-OF-AIR」から「SOLOVAIR」に。

エアークッションソールといえばDr. Martens(ドクターマーチン)を想像される方も多いかと思うのだけど、それもそのはず。実はSOLOVAIRとは深いつながりがあるのだ。
実は、かつてDr. Martensと35年にわたってライセンス契約を結び、「Dr. Martens by Solovair」として長らく初期のモデルを製造していたのが他でもないSOLOVAIRだった。

クッション性とグリップ力に優れたソールは、まるでスニーカーを履いているかのような軽やかな歩き心地を実現。
また、中底とアッパー、コバ(ウェルト)を縫いつけたあと、更にアウトソールとコバを縫うグッドイヤーウェルト式製法を採用し、履くごとに自分の足に馴染んでいく。
足下を引き締める

白いカットソーに黒いカーディガンを羽織、ボトムスにはチェックのスラックスで少しだけブリティッシュな感じを意識。そして足下にはSOLOVAIR。
Kohei Midorikawa – WEAR(※WEARは2024年にサービスを終了した)
いつもであれば、CAMPUSやSTANSMITHなどスニーカーを持ってくることが多いのだけど、革靴に置き換えるだけでも印象が大きく変わるね。
ブラックの色味とレザーという素材によって、足下を大人っぽくキリッと引き締める。

まだまだソールが沈んでいないので、少し窮屈な感じが残ってはいるのだけど、これから履き込んで育てていくのが楽しみ。
色味や柄のあるソックスと合わせても良さそう。こちらは、シャツと合わせてシックな印象に。一足持っているだけで、ぐっと着こなしのバリエーションが広がりそう。
合わせるボトムスでも、ずいぶん表情が変わる。細めのスラックスならUチップの丸みが上品なほうへ寄るし、ロールアップしたデニムならソールの厚みが効いて、少し武骨に。同じ一足なのに、裾ひとつで行き先が変わる。
秋冬はソックスでも遊べる。素足に近い色でつなげば脚が長く見えるし、明るい色を差せば、そこだけ目線が集まる。革靴だからきちんとしなければ、と身構えなくていい。
秋の足下には革靴を

春はスニーカー、夏はサンダル、秋の足下には革靴。冬はブーツかな。
冒頭にも述べたのだけど、常に一辺倒ではなく、いろいろな引き出しを持って場面場面で上手に使い分けられるようになりたいものである。
挑戦の秋とも言うから、ぜひ皆さんも何か新たなことを始めてみても良いかもしれないね。
関連:夏には真っ白な一足を迎えました
今回は革靴をご紹介したのだけど、この夏には真っ白なスニーカーを購入した。
足下にもバリエーションが増えると、合わせられるパンツ、トップの数も自ずと増えるので買いたい服がたくさん…








